愛犬が旅立った

命を繋いでくれた、一匹の恩犬への手紙

愛犬が旅立ちました。

私にとっては、ただのペットではありませんでした。

私の命を、どん底から救い出してくれた恩人ならぬ「恩犬」だったのです。

病院の代わりにやってきた「セラピー」

中学生の頃、私は生きているのが本当に辛い時期がありました。

「病院に行きたい」

そう両親に伝えた次の日、返ってきたのは診察券ではなく、一匹の子犬でした。

「犬でセラピーできないか」

そんな気持ちがあったのでしょう。

準備も整わないうちに、ゲージや餌よりも早く、その子だけが私の元にやってきました。

共に過ごした「命拾い」の時間

その子と触れ合う中で、私の心にこびりついていた「生きるのが辛い」という気持ちは、

少しずつ薄れていきました。

今思えば、あれはまさに命拾いでした。

それから10年。

私は実家にその子を残し、一人暮らしを始めました。

半年に一度、実家に帰るたび、少しずつ弱っていくその子の姿を見るのは、

正直目を背けたくなるほど辛いことでした。

ビデオ電話越しの最後

その子が亡くなったのは、コロナ禍の真っ只中、緊急事態宣言が出されていた時期でした。

駆けつけたくても駆けつけられない。

飼い主ですらペット病院に入ることさえ許されない、そんな異常な状況でした。

実家に戻ったその子の亡骸を、私はビデオ電話越しに見つめ、溢れるほどの感謝を伝えました。

恩犬からの「大人認定」

写真の中の、愛犬の満面の笑顔を見て思うことがあります。

「この子は、私が命を絶ってしまいそうな時に現れ、

私が大人になり、生きる自信がつくまで、ずっとそばにいてくれたんだな」と。

それはまるで、恩犬から「大人認定」を授かったようにも感じます。

だから私は、今日も枕元の写真に挨拶。

「ありがとう。可愛いね。大好きだよ」

私の人生を繋いでくれて、本当にありがとう。